応用固体力学研究室

我々の身の回りに存在するものは“材料”からできています.古くは,石や木材が代表的な材料でしたが,現在は鉄鋼,アルミ合金,チタン合金などの様々な金属材料やセラミックス,そして複合材料などの多種多様な材料が我々の生活を支えています.しかし,これらの材料は,使用方法を誤ると容易に壊れてしまい,機械の故障や事故の原因となります.私たちの研究室では,材料の破壊やその前兆となる変形を,電子顕微鏡をはじめとする様々な分析機器やコンピューター解析などを駆使して研究をしています.

ホームページhttp://www.cc.okayama-u.ac.jp/asm

Tada Naoya
多田 直哉教授

専門分野固体力学,損傷評価

E-mailtada@okayama-u.ac.jp

金属材料の微視的不均一変形と高度分布

一般の金属材料は,mm以下の多数の結晶粒で構成されており,一様な力をかけても材料内の変形は均一ではありません.この微視的不均一性は,材料表面の不均一な高度分布となって現れます.この非常に小さな凹凸をデジタル高度相関法によって計測し,材料の強度や破壊との関係について検討しています.

電子部品の損傷と強度の評価

スマートフォンを始めとする電子機器では,多種多様な細線や薄膜,はんだ接合が使われています.それらは,サイズが小さく,表面や界面の影響が大きい特殊な材料です.これら微小材料の変形や強度を評価することで先端電子機器の開発に貢献しています.


図1:純チタン表面の超微小凹凸の変化とすべり線の出現


図2:非接触式磁力試験機を用いた液中における鉛フリーはんだの接合強度評価

Takeshi Uemori
上森 武准教授

専門分野弾塑性力学

E-mailuemori@okayama-u.ac.jp

金属の弾塑性変形挙動数値モデル化に関する研究

燃費改善と衝突安全性を改善のために,高強度鋼板が自動車に使用されています.高強度鋼板は成形時に大きなスプリングバック変形(回復)をします.本研究では,この変形を高精度に再現できる高精度解析の実現を目指しています.

結晶塑性理論に関する研究

金属を構成している結晶の変形を高精度に予測するために結晶塑性理論に関する研究を行っています.上記理論を使用した数値シミュレーションを行い,物体の変形をメゾスケールで検証しています.


図1:ハット曲げスプリングバック解析結果


図2:多結晶純チタンの引張解析結果

Junji Sakamoto
坂本 惇司助教

専門分野金属疲労

E-mailsakamoto-junji@okayama-u.ac.jp

強度評価や材料加工のための疲労破壊メカニズムの分析

機械装置の破損原因の8割以上は疲労破壊といわれています.本研究テーマでは,疲労破壊が材料中に発生したき裂が成長することで起こる現象であることに着目し,そのき裂の挙動を分析することによって疲労破壊メカニズムを分析しています.それに基づいて,強度評価や材料加工を行っています.

振動を受ける材料の強度評価

振動を受ける材料は,共振する可能性があることや負荷の大きさや方向が不規則なことなど,通常の疲労よりも複雑です.そのような振動を受ける機械を安全かつ有効に使用することを目指して,強度評価を行っています.


図1:レプリカ法とEBSD解析による疲労き裂の挙動の分析


図2:有限要素解析による固有モードの特定