スマートフォンや自動車,航空機など,日常目にする工業製品には,多くの精密な部品が使用されています.これらの部品を,正確に早く安価に作るには,高度な機械加工技術が必要で,更に優れた製品を産み出すための新たな機械加工技術が望まれています.私たちは,研削加工,砥粒加工とその評価法を研究することで,更に高度な機械加工技術の開発を目指しています.
Kazuhito Ohashi
大橋 一仁教授
専門分野精密加工学(研削加工 ,砥粒加工)
E-mailk-ohashi@okayama-u.ac.jp
航空機への利用が飛躍的に増加しているカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)を研削する際に,ドライアイスブラスト等などを援用して目づまりを抑制しながら,高能率かつ高精度に研削加工する技術を開発しています.
高硬度の微粒子(砥粒)を工具や流体の運動エネルギーによって素材の表面に作用させるとミクロンレベルより小さい単位で材料が除去されます.この砥粒の作用をコントロールすることで,表面に微細形状を創成し表面機能を与える機械加工技術とその表面性状の評価法を開発しています.
図1:CFRPの研削加工面
図2:ブラスト加工によるHDD軸のマイクロ動圧溝
Hiroyuki Kodama
児玉 紘幸講師
専門分野切削加工,データマイニング
E-mailh-kodama@okayama-u.ac.jp
工具カタログや実験で得られたデータ群に対して,最新の統計解析手法であるデータマイニングを適用することにより,技術者のモノづくり支援を行うことを目指しています.
航空機材料として多用される超耐熱合金やチタン合金などの,高能率な除去加工プロセスの確立や,除去加工メカニズムの解明を行っています.
図1:データマイニングフロー
図2:赤外線サーモグラフィーによる工具温度上昇のモニタリング
Takashi Onihsi
大西 孝助教
専門分野機械加工(研削,加工状態のセンシング)
円筒研削とは,高速で回転する砥石で,円筒形状の材料を削る加工法です.研削中には火花が出るほど熱が発生するため,材料は熱膨張し加工精度が悪化する原因となりますが,熱変形を計算しながら削ることで,誤差を1μm(1000分の1mm)以内に抑えることができます.
内面研削は,丸い穴の内側を砥石で削る加工法です.穴の奥でも手前でも,穴の直径は等しいことが望まれますが,細い砥石を使うので,加工中に発生する力で砥石が曲がってしまい精度が悪化します.加工中の砥石の変形を考慮して研削することで,穴の直径を一定にできるように研究を進めています.
図1:研削中に飛び散る火花
図2:内面研削における形状誤差